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湿血帯不快指数

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帳SS「回憶の骸」
回憶の骸(おもいでのから)と読みます。人間の器自体は、様々な記憶(情報集合体)の脱け殻だよなと思い。骸もちょうど〝から〟と読むので。

「下里の人間から見た夜と矢代」というタイプの話で、モブ視点です。私は帳のモブ視点を書くのが大好きです。主役二名の視点では分かりきっている事が、他人からだと全く見えない。この未知を想像するのが好きで、帳の場合は関係性から「畏怖」になり易い。このシリーズでは特に、彼等二名は「人の形をした別のもの」という異質をえがきたいので、すべてを知る事の許されない立場(モブ)が重要だと思います。

更新後に作品読み直しましたが、あとがきの簡易解説でガラ紡を説明し忘れていました。
〝動力源を水車として行なった紡績機〟の事で、スピードでいえば「手動には勝る」が「機械紡績には劣る」といった位置づけです。糸の太さが悪くいえば均一でなく、良くいえばムラが風合いとなります。
〝「つぼ」と呼ばれる円筒形の容器に綿を詰め、垂直に立てた状態で、円筒の中心軸を回転軸として円筒を回転させながら、綿を上に引き出すことにより紡糸を行う〟
このつぼに「悪魔の蜘蛛糸を巻き付けた繭層(真綿)」を詰め、ミックスした状態で紡糸される様なイメージで書きました。蚕繭云々は、同じく帳番外「玉繭の化石」でも書いているので、併せてお読み頂くと良いかもしれません。

紡績や織機というと、生まれ育った家のすぐそば、長屋の様に連なる小さな木造工場があり、すりガラスや建付けの悪そうな戸の隙間からカタンカタンダダダダギイギイと、数種類の音がずーっと薄く響いている。あの光景を思い出します。織機の音を聴いて育ったので、その手の話を書くとなんとなく郷愁じみてきます。工場が動かなくなってかなり経ち、もう半分くらいは駐車場や家になっているので、いずれすべて消えるのでしょう。

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