以前貼ったSS途中経過(帳スピンオフ、スペイン旅行譚)の続き…
これで全体の半分程度、最終的に手直しするので発表時には変更箇所有ると思います。
というかリクエストして下さった方は、はたしてまだ憶えているのだろうか…私の着手が遅いばかりに、申し訳ない。
続きから読めますが、いきなりエロです(あっさりです期待しないで下さい)
人修羅が♀ですが、言われなきゃ分からない位にいつも通りです。流石に感触表現は違ってきますが…
右下の「つづきはこちら」からどうぞ↓
これで全体の半分程度、最終的に手直しするので発表時には変更箇所有ると思います。
というかリクエストして下さった方は、はたしてまだ憶えているのだろうか…私の着手が遅いばかりに、申し訳ない。
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人修羅が♀ですが、言われなきゃ分からない位にいつも通りです。流石に感触表現は違ってきますが…
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嗤う声と見下すその眼に、脳内まで沸騰する。
「そんなの名義上でしか」
「書類を役所に通した憶えは無いね」
「当たり前だっ、そもそも俺とあんたは住む世界が――」
自分で発しておきながら、その言葉に走馬灯を流された心地。
葛葉ライドウは大正の帝都に生き、俺は平成の東京に住んでいた。
今、こうして身を置くは同じく平成だが……俺のかつて居た世界とも、少し違う。
何故こんな結果になっているんだ……ボルテクスでの出逢いが、悲劇を約束したのか。
「つまらぬ事を考えているね」
「んぐ」
首に手を回され、項をぎゅうっと掴まれた。
喰い込んできそうな爪先が、俺の神経を逆撫でる。
「ソコ、やめろ……」
「最早ヒトでは無いのだから、世界や時間なぞいちいち気にする事かい?」
「擬態が解ける」
「鍵はかけたよ」
「そういう問題じゃない」
爪が立っていた傍から、指の腹がやんわり宥める。
軽い痛みによる痺れと、接触による熱が交互に。
俺の中に……脳髄に、マガタマに響くから、項はやめろ。
「悪魔の姿を見られたとしても、其方の窓から飛び降りれば済む事さ。前金なので無賃宿泊とはならぬ。またこの国に来たければ、半世紀先にでもすれば良い。奇怪な噂として、刺青人間の話がホテルマンから聴けるだろうよ」
「あんた、さっきはしっかり擬態しろって云ってたじゃないかよ」
「群衆の中では面倒が多く、美味くも無い悪魔を引き寄せるだけだからねえ……」
「あっ、と、解ける」
「だから、施錠済みと云ったろう」
夜の声に急かされる様にして、冷たい気配が四肢に巡る。
シーツを燃せば逃れられる、そんな事は承知だ。
長年俺を使役してきたこのデビルサマナーも、俺の能力くらい把握している筈。
本気で刃向わない姿勢を、行為の度に見下ろされている訳で……
殆ど視姦に等しい。
「フフ……股の狭間からするすると黒が伸びると、まるで墨汁を漏らしている様だ」
「はぁ……っ、何も……出ねえよ」
「嘘吐きだね、MAGは出る癖に」
「はっ、あ」
本当に性急だ、まだシャワーさえも浴びていない。
日中あんなに歩き回って、熱狂的な観衆に揉まれ、外人特有の体臭に異国を感じた程だというのに。
この身体になってからというもの、酷く汗ばむ事はない。
それでも気が気では無い、そんな蒸れる箇所に……躊躇いも無く舌を這わせるだとか。
「……ぁ、う、ぅ……」
項からとっくに離れた指が、肉襞の入口にするりと挿入される。
あまりに呆気無く入る瞬間、そういえば……と、現在の性別を顧みる。
痛みを緩和させる構造を実感する度、合致するのはやはり異性同士の肉体なのだと、どこか遠くで思う。
「ほら、漏れてきた」
「…………黙って、やれ……っ」
俺とこいつは、男同士で、既に人間からも遠いけれど。
不適切の度を越えていて、もはや誰も糾弾出来ないだろう。
「いっ」
どこか冷めた指とは別の、温度として冷たい何かが擦れた。
指の動きと連動しているので、すぐに察した。
「あんた、指輪外せよ……いつもは、外してるじゃないか」
「僕はどちらでも構わぬけど」
「俺が嫌なんだよ、異物挿入とか勘弁してくれ」
「へえ、では僕の指は異物とは違うのかい」
言葉の端に見え隠れする、嬉々としたその感情。
俺の狼狽を煽っているんだな、解っている、それくらい。
だったら、どう返せば良いんだ?
「うっるさいな…… そういう行為なんだから、互いの身体は異物じゃないだろ! あんたのパーツを誰も特別視なんてしてない!」
やはり喧嘩腰に返してしまい、夜の口角をぐいぐいと吊り上げてしまう。
「では、コレも異物では無いと?」
更に返ってきたのは、言葉ではなく感触。
素足に擦りつけられた……弾力のある……
「ばっ」
「フフ……もう少し後にしてあげるよ、マシンもオイルが乾いていると誤作動が多いだろう?」
「オイルって、おま――」
半身を起こそうとした俺の脇目、ベッドのサイドテーブルに指輪を放った夜。
その扱いの粗雑さに文句しようと息を吸った、が。
(……あれ)
テーブルクロスが未だ絡む腕の先、左指を順に波打たせた。
肌を嬲る感触が無い、吸い付く様で、それでいて喰い込んでくるあの……
(無い、無い無い)
たった今、すぐ傍に放られた指輪と揃いのアレが。
俺の結婚指輪が無い。
「何、いきなり締め付けてきて……お強請りのつもり?」
ちげえよ馬鹿、びびってんだよ。今はそんな場合じゃない、貞操よりも命の危険だ。
あの指輪は、わざわざ知人の悪魔に作らせた特注品で。
ペアルックとか絶対拒絶しそうなこの男が、唯一身に着けていた装飾品で。
石に詳しくないけど、ダイヤだったと思う。そんなにゴツゴツしていないけど、光に翳すと水面の様に輝く……
「そ、そう思うなら、さっさと挿れろ」
悟られてはまずい、この行為を手早く終わらせて指輪を捜さないと。
その為にはこいつを消耗させて……
「相変わらずそういうスキルは伸びないね、少しくらいヨシツネにAV借りたら如何」
「あ、あああんたがそういうのスキなら! 一回くらいはそれっぽくしてやっても良いけど! すぐに終わらせろよ!」
「それっぽく? フフ……何、君に女優の真似事が出来るのかい?」
食い付いてきた、良し、これで一通りヤらせれば就寝コースだろう。
そうしたらこいつのピロートークの最中、俺は日中の行動を思い返して……
指輪の在処を推測して……それからいつ、どうやって回収しに行くかを考えれば良い。
「そうだねえ、ではまず手で扱いてよ」
いきなり急所を狙われたかの様な要求をされ、息が詰まった。
右手でやれば大丈夫か? いや、妙に左手を隠しても引きずり出されそうだ。
俺が指輪を外すタイミングを、こいつはきっと把握している。
今の流れで装着していないのは不自然だ、失くしたとバレる。
「ま、てよ……待てっ」
腹筋の様にくわりと上体を起こし、すかさず夜の股座に顔をうずめた。
熱いソレがひくりと頬をくすぐるのが判る。つられて興奮しても良さそうなものだが、羞恥と緊張感が勝る。
「腕、こんな状態だから……口だけで、してやる」
「解いてあげようか?」
下りてくる提案に心配の色は無い、こいつ、絶対わざとだ。
もういい、二輪GPで浮かれていると思われて結構だ、というより思ってくれ。
「要らねえよ、あんた拘束系の動画観た事無いのか?」
相手の望むままに拒否をして、そそり勃つ物を咥え込んだ。
視線は間違っても合わさない。俺から奉仕する事なんてまず無いから、既に恥ずかしさで焔を吐きそうだ。
「へえ……功刀君は、そういうのを観るのかい」
「ん……ぐっ、ふ」
人がしゃぶっている時に、項の突起を撫でさするのは、昔からの癖か。
どっちがアレを扱いているのか、判らなくなる。
夜の指がツノの溝を行き来する度、無い一物がヒクつきそうで。
代わりに割れ目からほんのりと覗く芽が、ジンジンと熱を蓄えて煩い。
シーツに付着する湿り気が、それを冷ますかの様に拡がっていく。
「……っ、は、はぁっ、はぁ、み、観ないッ」
「だよね、観る必要性が無いね、僕がしてあげてるし」
「んんっ、んごっ」
髪を掴まれ引き上げられ、息継ぎさせされて、また溺れさせされる。
今度は容赦なく喉奥を突いてくるので、堪らずに眼を見開いた。
薄暗い中だと、俺の斑紋がケバい事は慣れっこだが……
未だに夜の眼が金色に光っていると、一瞬戸惑う。
(でもこいつに斑紋は無いんだよな)
マガタマも呑まずに、悪魔の血を得ている。
恨めしく感じる反面、今更人間に戻られたらどうしよう、とも考える。
(指輪失くしたって知られたら、失望されるのか)
いいや、こいつはそれをネタに俺を甚振るだけで、落胆や怒りは抱かない気はする。
傷め付けられるのが面倒だから、俺も避けたいだけだ。
喉元過ぎれば……という、アクシデントでしかない。
それなら何故、こんなにも俺は焦る?
伴侶の証を失くした事が、怖いのか?
「んっ、んんッ!」
苦しいという意思表示とは別のニュアンスで、首を左右に振る。
「……は……何……そろそろ、出そうと思っていたのだけど、ねえ」
目敏い夜はすぐに気付き、掴んでいた髪を梳くだけに留めた。
「寸止めして遊んだのなら、蹴飛ばしてやろうか……フフ」
「ぷはっ、あ、っ……はっ……はっ……な……中に……」
「何」
「胎ん中に、出せよ……」
唐突な俺の要求に、夜も興奮出来ないらしい。失笑気味に俺を見下ろしている。
おかしいな……これって煽りじゃないのか? 積極的な女性のエロ動画なんて、殆ど観ないから分からない。
とりあえず跨ってしまえば良い、出そうと思っていたと云う事は、終わりが近いのだろう。
「功刀君」
「動くな、挿れづらい……」
「……矢代」
「いっ」
「聴覚は機能していると思ったがね?」
くっ、と両耳を摘まれて、金色の眼に間近から睨まれた。
若い悪魔らしい、瑞々しく覇気の有る眼をしている。
「僕の肉体は、まだ老朽化しておらぬ」
「そうだな、こんな下品におっ勃ててるし」
「先日産んだばかりなのに、もう孕みたいのかい?」
「……違う」
違うんだ、あんたに見せておきたいだけだ。
はしたない女優の真似事と偽って、繋がりを誇示したいだけだ。
万が一、失くし物の事が露見したとしても……少しでも免罪符になればと。
「折角、女の身体なんだから……な、中に出してぇ……夜」
反応を見るのが恥ずかしくて、そのまま唇に噛み付いた。
(畜生……胸糞悪い……普通にヤれば良かった)
昨晩の名残が、精神疲労を催している。
俺のなけなしのお強請りは、大爆笑した夜で無為に終わった。
腹を抱えて笑いながら、ベッドから転がり落ちる始末だ。
そこまで笑う事無いだろうが、しかもちゃっかりゴムまで装着して戻ってきやがった。
意地が悪いにも程が有る、俺が気分じゃなかろうが器が欲しい時は生でヤる癖に。
「どうしたのだい、折角の予選だというのに気もそぞろで」
観戦にはしゃぐどころでは無い、目の前を通過するマシンにつられて沸き立つ観客席。
その足下に光る指輪が落ちてはいないかと、隙間を縫って俺は視線を泳がせるばかりで。
踏まれて砕ける石とは思わないが、案外細工は華奢なので金属部の破損が不安だった。
「功刀君」
「試合は観てる、ただちょっと、眩暈がするから……下向いてるだけだ」
「君が昨日応援していた選手が抜かれているよ」
「何っ」
夜の肩を押し退け、上背の高い異国人達に苦心しつつ背伸びした。
だから妙に盛り上がっていたのか、此処は丁度抜き易いカーブに近い。
「うぉ」
急に視界が高くなったので何かと思えば、夜が俺の臀部に腕を添わせ、そのまま持ち上げていた。
あっさりと片腕でやってのけるものだから、少しヒヤリとする。
周囲の視線は殆どがコースに向いている、それでも日本人の唐突なウエイトリフティングはビビるだろう。
若いままに半魔と化した夜は、異国人からすれば子供同然。
それが異様さを強調する、擬態ってのは外見変えるだけじゃないだろ。
俺の様な……斑紋やツノが無いからと、油断し過ぎだ。
「おい、背負うとか肩車にしとけよ、こんな……片腕で」
「肩車は背後の客に迷惑だろう、それにがっつりとMAGを吸われそうで嫌なのでね」
確かに肩車よりはやや低い位置だが、殆ど変わらないだろう。
モミアゲの目立つ耳元に口を寄せれば、イチャついているバカップルに見えるのだろうか……
最悪だが、こんな喧噪の中……流石の俺達も、声は近い方が聞き分け易い。
「こんな所で食事しないぞ俺は、そもそもあんた昨晩はロクにMAGを――」
と、群を抜いて甲高い音、すぐ近くを滑走している空気振動が俺を惹きつける。
見下ろす路面に靡く色は、俺が応援している選手のマシンとは違う。
「なんだ、どうしてだ」
「納得いかない?」
「だってあの選手……昨日も下位だったし……これまでにも、あんな走り見せた事無いぞ」
首位争いは、緑と赤がよくぶつかりあう。
しかし今日はぶっちぎりで、黒いマシンが先頭だ。
「解説も驚いているね」
夜を見れば、耳元に何かがハマっている。イヤホンだ……此処で中継を聴いているのか。
ただそれは恐らく異国語だし、周囲の観客が発する野次も俺には分らない。
「……マシン変えたとかも聞いてないし、いきなりこんな速くなる訳が無い」
「能力が開花したのではないの?」
「そんな唐突な訳あるか、それなら昨日の走りの時点でレベルアップしてるだろ」
再び目の前を通過する、周囲の野次も一際大きくうねる。
黒いマシンを凝視する俺の項が、かあっと熱く痺れた。
空気にぶれていた動体の色形が、固定される。
集中して目視すれば、ある程度鮮明に判る。自身も動く事の多い戦闘中より、はるかに易い。
(なんだ……違和感を感じる)
何処か別の視え方で、そのマシンと……選手を捉えている、この眼が。
まるで悪魔と対峙している時の感覚が、一瞬で過ぎ去って往った。
「もう良いかい功刀君、少し向かう所が有るのだけれど」
「……あ、ああ」
するりと降ろされた俺は、すぐに袴の崩れを直す。
やはり面倒が多いので、ホテルに帰るまでに軽装を手に入れたい。
「何だいその手袋、寒いのかい」
訊かれてから、夜の視線の先を辿る。
俺の手に注がれているそれを引っ剥がす為、適当な言い訳をしないと……
「万が一擬態が解けても、手はこれで見えないだろ」
「他が丸見えだけど」
「両手で顔を覆えば良いじゃないか」
「ツノはどうするの」
「……あんたが外套でも羽織らせてくれたら、大丈夫だろ」
「やれやれ、君の為に真夏だろうが外套を着ておかねば」
放っておいても年中着てるくせに、とは突っ込まずに、口を噤む。
皺の寄った袖を整えた夜が離れようとするので、思わず後を追った。
夜は相変わらず人混みを掻き分けるのが上手で、その十戒の如し道を俺は進むだけだ。
「来てもつまらぬと思うがね」
「俺、此処の言葉話せないんだぞ? 置き去りにしてよく平気だな」
「特徴的な格好をしているから、捜すのは楽さ」
「なんだよ、そんな理由で和装させてるのかあんた」
「試合の決着は観なくて良いの? 恐らく瞬間までに僕の用事は終わらぬよ」
それまで独りか……と思案し始め、今更はっとした。
そうだ、その合間に指輪を捜せば良いじゃないか。
つづく
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