放置してすいません、年末年始色々とあって、精神的に殆ど死んでました。
というよりまだ夢うつつです、ご飯が食べられなくなってしまいました。毎日水1杯でも平気です、これは不味い…誰かたすけて~
こんな話はさておき、話昨日ふと浮かんだシーンがあるので、ロキ修羅の要望に応えつつ書き殴りました。
ダンテ主前提ですが、CPほどでは無いです。
ロキ修羅ですが、ボコりあっているだけです。
下品なギャグです、短いです。
上記の話は拍手御礼SSに入れましたので、御礼から外れた古いSSを此処に放りこんでおきます。
右下の「つづきはこちら」からどうぞ。
※此処で言う「拍手」はTOPページの「Web拍手」の事です。ブログ記事の拍手には御礼SSは添付しません。
古いものは改めて拍手御礼の倉庫に入れる予定ですが、あの辺も整理しないとですね…
読んでいる方が居るのか怪しいので、ついつい放置しております。
SS「赤い沓」のあとがき・後日談も更新する予定です、生存報告までに。
トラウマティックなリボルバー
(ライ修羅、数年前に書いたものです)
「くるくるばーん!」
「アリス…!」
扉越しに聞こえてくる声。
『おい、また人修羅が虐められておるぞ』
階段を上り切り、足下のゴウトに哂い返す。
「いつもの事でしょうに、僕が割り入って彼を庇護するとお思いで?」
『遊び相手を考えてみろ』
「フフ、それは確かに」
ドアノブの硬質な感触、捻り開ければ、まず少女が振り返る。
「あ!夜兄様!」
笑顔の蒼い眼が煌いて、ビスクドールの様だが。その手には不釣り合いな物が握られていた。
「ミス・アリス、それは頂けぬね」
少し眼を細くして見下ろせば、ひらひらとその得物を僕に見せ付けてくる。
それは、僕のリボルバー。
「何処を探ったのだい?勝手に攫われては困るよ」
「ベッドの下のケースの中よ、アリス名探偵でしょ?」
溜息したゴウトが、寝台に腰掛けたままの人修羅に問い掛ける。
『おい、この小娘、今度は何を企てておった』
「…ロシアンルーレットするとか云い出して…おまけに、公園で稀に遊ぶ子達と」
『呆れたものだ、悪魔同士なら度胸試しの娯楽…はたまた賭博だが、人間がやるのは無謀他ならぬ』
「だから、そんな事したいなら、せめて悪魔としろ、って」
ちらり、と人修羅を見る。
確かに、擬態は解除され、上半身の着物衿は開かれていた。
血を浴びても汚さない為の下準備か。
「違うだろう功刀君、止め給えよ。僕の部屋が汚れる上に、愛銃を勝手に使われるのは気分が悪いのだよ」
僕は苛立ちが重なり、人修羅を糾弾しつつ、アリスの華奢で小さな手を己の手に取る。
少し屈んで、同じ様に人修羅の傍に腰掛ける少女にお辞儀した。
「ミス・アリス、彼女は大切な大切な…僕の寵姫が一人。勝手に外に連れ出さないでおくれ」
そのまま手の甲に軽く口付けすれば、隣で人修羅が少し震えた。何を反応しているのだか。
「まあ!この銃、雌だったの?」
「管も銃も、総て女性の様に扱っているさ。丁寧に愛撫を重ねれば、期待通りに応えてくれるからね」
胸元の管をするりと撫で、哂いつつ諭す。
「磨き上げ、機能美を保ちつつ見目も光っている…フフ、傍に置く寵姫なれば、責任は主人にある」
「夜兄様ってフェミニスト?」
聞き返しつつ、リボルバーを返してくるアリスを横目に、声が割って入った。
「ナルシストの間違いだろ」
人修羅が衿を直しつつ、そっぽを向いて吐き捨てた。
「おや、君は道具扱いが気に喰わぬ上、愛撫すら受け入れぬから放任しているのだが?」
「ぁ、愛撫って…気味悪い比喩するんじゃねえよ…手入れだろ」
「そうだねえ…君は“手入れ”された途端に啼くからね、ククッ」
それを云った瞬間に、君の撃鉄は起こされたのか。
僕の外套襟に掴みかかり、間近から睨み上げてきた。
「おい、何処が放任だって…?いちいち嫌味たらしく俺の動きを制限しないでくれ」
「もっとしっかり立てば如何だい?ああ、御免ね…それで背伸びだったかな?」
ぎり、と襟を掴む指に捻りが加えられた瞬間に、僕はアリスから返されたリボルバーを持ち上げた。
はっとした人修羅が、身構える前に、その背から肩口狙い、発砲した。
『おいライドウ…お主つい先刻、部屋を汚すなと云ったばかりだろう』
「いえいえ童子、しっかりと肌に喰い込ませ撃ち込み候、血は溢れませぬ…フフ」
ぐたり、とした人修羅の角を掴み、ぐい、と顔を仰け反らせる。
「兄様…」
「ミス・アリス、君にはこんな素早く扱えぬだろう?それにロシアンルーレットを八百長抜きでしたいのならば、しっかり装填部分に目張りし給え」
「違うの兄様、あのね」
と、アリスの揺れる金髪を見て哂っていれば。突然の衝撃。
人修羅が、僕の首に手を回した。そのまま締め上げる算段だろうか。
「何、君?もう一度喧嘩したい?」
長い付き合いの姫の弾倉を回し、態と君の耳元で啼かせれば怯むかと思ったのだが。
一層強く抱き寄せられ、思わず引き金から指が外れる。
「夜」
アリスの前だと云うのに、僕を一直線に呼び上げた。
「夜、夜…」
締め上げるどころか、首に縋ってきて、先刻までの怯えを含んだ怒声が、甘えた声音に変わる。
僕は即座に、リボルバーを横に振り、指先で確認する。
「アリス…!」
「だってえ、どの弾がどんな効果かなんてアリスには判らないんだもーん」
弾丸の刻みを見れば、効果は判る。
魅惑弾…魅了の効果。
『やれやれ…しっかり確認せずに撃ったお主が悪いな、ライドウよ』
嘲笑を滲ませた黒猫に、僕は思わず撃ち込みそうになって、己の腕を押さえた。
「夜、手入れ」
「功刀君、こういう時に君はイヨマンテを呑んでないのかい」
「して」
閉じたばかりの衿を開き、有り得ない恥じらいの笑みすら浮かべ、背筋がぞわりとなる。
「きゃ、アリスちゃんはお邪魔かしら」
ニヤ、としたドール。人形はそんな含んだ邪悪な笑みはせぬ。
「…ミス・アリス……選定したね?この弾」
「そんなワケ無いわあ夜兄様、アリスちゃん、夜兄様の愛人の事なんてさーっぱりだもの」
「愛人の身に纏う、その香り自体にに覚えが有れば、認識可能と思われるがね」
「いいじゃない、だって、なかなか手入れさせてくれないんでしょ?」
「いつも無理矢理している、こうする必要は皆無さ」
「あら、大事にされた道具の方が応えてくれるんじゃないの兄様」
寝台にケタケタ笑って転がるアリス。
次の満月の晩、説教が必要か。
「夜、夜夜」
「ああもう煩いね君も、しばらく離れてい給え」
引き剥がそうと足蹴にすれば、その脚にすら抱きついてきて。
『おい、如何したライドウよ、煮るなり焼くなり手入れなり好きにすれば如何だ?いつもより部屋も汚れぬだろう?』
ここぞとばかりにゴウト童子まで。嗚呼、明日雨になってしまえ、その髭、縮れてしまえ。
「功刀君、寵愛を受けたいのならば、一寸大人しくしてくれ給えよ」
そう、弾丸を抜いてしまえば、効力は治まる。
納得は出来ぬが、そっと抱き寄せ肩を探る。
男にしては貧弱な肩、そういえばこんなに落ち着いたコレを抱き締めるのは珍しい。
(心音がスロウだ)
魅了の効果なれど、普段僕と接する瞬間より穏やかなのか。
それはそれで、苛々する。
と、傷口に指が触れ、僕は爪先を其処に立てる。
さあ、もうこれで茶番は終い…
「夜、MAG」
寄せられる唇は、どこか嬉々としていた。
あまりに読めず、塞がれる。
「ん、ぐ」
激しい吸魔、総て吸い尽くす勢いの。
普段、僕が無理に呑ませる時よりも、強く煽る。
アリスとゴウトの視線が刺さる中、馬鹿の様に抱き合い吸い合う。
ようやく離れる頃には、僕の中の弾倉は切り替えられていて。
「んんっ、ぁ、ぷ」
「…手入れ、そんなにされたいのかい君」
寝台に、解体の準備を進めれば、アリスが床に飛び降りた。
「ゴウトにゃん!月夜の散歩に出掛けましょ」
『……付き合わざるを得ぬだろうて…チッ』
ぱたん、と閉まる扉。暗いままの部屋、着物の外装を取り払い、君の総身を眺める。
「早く」
強請る声、君にそんなスキルは無かった筈だが。
「早く、夜…」
伸ばされる腕を取り、その脚を抱える。
「ロシアンルーレット…酷い遊戯だね…フフ、悪魔の方が分があるよ」
「手入れして…俺に構えよ…俺を管みたく撫でてくれよ…銃みたく磨けよ」
「道具で納得するのかい?」
「あんたの一番の道具になりたい」
あまりに滑稽な台詞に、銃身が熱くなる。
「ねえ、中で暴発してやろうか」
耳元で囁いて、下肢を握る。君のそれも、熱い。
「そうしたら、あんたの、負け、だ…」
「ルールを知らぬのかい…あれはね、弾が入っていた者が、勝ちなのだ、よ」
「っん、んあ、し、知るか、んっ」
珍しく潤滑油など使うものだから、滑りが宜しくて。
愛銃や刀に使う油ならば躊躇せぬのに。君とは血で滑りたいのだよ、本来ね。
そうでなければ、磨耗してしまいそうになる。
「ねえ、手入れは失敗…中でMAGと共に爆ぜる…」
「はぁ、は、ぁあっ」
「僕の勝ちだろう…矢代…っ!」
抉りぬいた弾丸を握り締め、君の中で融解した。
もう、効力は消えているだろうに…馬鹿な奴。
バレている事に気付いておらぬのか…迂闊だね。
やはり、僕の勝ち――…
「はぁ、っ……は………」
腰のベルトに携えていた筈の、鉄の寵姫が床に転がっていた。
僕は、護身の武器を落した事にすら気付かず、揺さぶっていたのだ。
「………っ!」
手入れの仕上げに、君の頬を叩いた。
嗚呼、馬鹿だ。
寵姫の中からひとり、僕の武器を選べと云われたなら、僕は…
己の手の中でいつか暴発する、と宣告している、それをいつか手に取り。
正室の誓いを遺言にされるのだろうか。
「酷いチキンゲームだね…」
あられもなく黒髪も乱れた君の、MAGが装填された煌く斑紋に舌を這わせた。
すすり泣く様な声に、それとなく熱が戻る。
「ねえ、何発撃ち込まれたい…矢代」
模擬でもない標的に、実弾で試し撃ち。
君の中で、全て装填されたロシアンルーレットの弾倉を無意味に回し。
僕の心に、君の喘ぎが否応無しに撃ち込まれ。
互いに蜂の巣で朝を迎えた。
-了-
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